第2回関宿スケッチコンクールによせて |
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小原 喜夫 氏(版画家・四郷版画館館長・国画会) あいにくの雨で、昨年に比べて出品数は大減少しましたが、その分意欲のある人が出品され、かなりのハイレベルのコンクールになりました。特に入選20点は厳選で、心を鬼にして選ばせていただきました。 「スケッチ大賞」は、そば屋の店先を傘をさした女性がさっそうと行き過ぎる光景。左上から右下へ斜めに走るウスズミ色の太い線が、どんよりとした雲間からおちてくる雨の情景を的確に表現している。 「まちなみ賞」の一点は路地の画。画面上に飛び走り交差する幾筋かの黒い直線が魅力的だ。黒いしみの様なマチエールの中にうすい青や赤を配し、心にくいアクセントとなっている。暗い雨の路地裏、黒い両サイドの町屋、その中に引っかいたような細くて白い線。それは天から降ってくる雨でもあり、作者のほとばしる情感かもしれない。 「まちなみ賞」のもう一点は、関宿を傘をさして一人さみしくいく姿。今迄そこにいたのに、もうあんなに遠ざかっていく。雨のまちと一体化したこの人は、いったい何を思って歩いていくのだろう。
秋雨煙る関の宿。 地蔵院の床に這いつくばり、軒下の土間にうごめいて頑張っている絵かきの虫たち。これこそが「関宿スケッチコンクール」の心ではないか。そんな思いの第2回目でした。 上位入賞の6点はどれも甲乙つけがたく、できることなら6点とも大賞にしたい…。そんな悩みの審査会でした。なかでも石川さんと上村さんの作品は光っていました。関宿の魅力を独自性をもって描き出していること、日常のアート感覚が紙一枚の空間に滲みでていること…などが選考のポイントになりました。 子どもの部でも同じです。小林君の色と線のバランスには元気があふれていました。 雨にもめげず県外から参加された方々、時間一杯ギリギリまでこだわりつづけた方々、アートとはそんな道のりを含めた思考の営みなんですね。感動をありがとう。 2006年10月2日 記 服部 泰彦 氏(関宿保存会会長) あの悪天候の中、百名をこえる人たちが参加されたことに、まず驚きました。集められた絵の一枚一枚を拝見しながら、宿場町に降る雨の表現の多様性に、さらに驚かされました。 私たちの社会がこんなにも多彩な個性の集まりであったことに、はじめて気づかされたと同時に、日常生活において、必ずしもひとりひとりの個性が尊重されていないなあ、と感じる一刻でした。 |
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【入賞・入選者一覧】 ◆参加者数:110名 ◆出品数: 99点 ●一般の部 88点 ●子どもの部 11点
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